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   U 理性が教えた真理について  
     
   5. 「力」と「ルール」の関係性について  
    「力」と「ルール」に関係があるなどとは、ほとんどの人は思わない。ところがこれが大アリなのである。物理学の別名は力学である。つまり「力」と「ルール」は大いに関係があるのである。物理法則もルールであるから、その性質上二つのものに分けられる。一つはルールとは言え粒子の「性質」を規定するものであり、もう一つは相互作用を行うものどうしのあいだにあるルールである。前者には、「慣性の法則」や「パウリの排他律」なんかがあり、後者には「万有引力の法則」や「クーロンの法則」などがある。この分類は、人でも同じである。仏教では、「戒」=自分を律する内面的な道徳規範と「律」=自分が所属する集団における規範の二つがある。
 みなさんは、なぜ物理法則が完全に機能するのかご存知であろうか? それはすべての粒子に「力」がもたらすルールには従う性質があるからだ。この性質が「慣性の法則」と呼ばれているものである。私たちは、今、重力によって地表面に引きつけられている。下から上へ上がるよりも上から下へ降りる方が随分楽なのは、私たちがいつもこの力によって地表面に引き付けられているからだ。一方でこの重力は、「万有引力の法則」と呼ばれるルールを私たちと地球とのあいだに敷設する。私たちはただ「力」によって引きつけられているのではなく、「力」によってもたらされた「ルール」によって、私たちの運動は制限を受けているのである。だから、地上千mぐらいの高さからパラシュートを背負って落下すれば、10秒か10数秒程度は空中を落下していられるが、高飛びのオリンピック選手でさえ、地上から飛び上がっても1秒も空中にはとどまれないのである。
 物理法則は、「力」の中にあるルールである。だから、ただ「力」を掛けるだけで、「力」を掛けられたものの運動や変化の方向を制限することができる。また「力」を加えればただそれだけで、「ルール」をもたらすことができるということは、「力」を加えたものに「一貫性」「規則性」「周期性」「循環性」などの特徴が現れる。私たちは、このような特徴を持っているものを「秩序あるもの=構造」と呼んでいる。つまり、ただ力をかけるだけ、それだけで「秩序」をもたらすことができるのである。太陽は、重力を使って地球をはじめ諸惑星の運動を制限している。そのことで、太陽系の惑星はみんな秩序あるものである。銀河も重力を使って太陽系の運動を制限している。そのことで、太陽などの星星はみんな秩序あるものである。そして私たちは、この便利さを思う存分利用して「機械」をたくさん作ってきたし、その機械を使って「秩序あるもの」をたくさん作ってきたのである。ただの物質ならば、ただ「力」を掛けるだけで、思い通りに動かせるのである。あそこからここへ持ってくることも、力を使えばできる。動かすことも止めることも力を使えばできる。整頓することも力を使えばできるのである。どんな力を、どんなふうに、どれぐらいの量加えれば、対象がどんな変化をするか? については科学者、工学者、技術者などによってたくさんのことが分かっている。だからこそ、今の世界には「物質」で作られていて、高度な機能を有するものがたくさんあるのである。

 一方で、「力」を使ってもその運動や変化を制限できず、「秩序」を与えることができないものがある。私たち、生き物である。私たち生き物は内部に自分を動かすエネルギーを保持しているので、「力」をかけられても、踏ん張ることもできるし、逆らうことも、逃げ出すこともできるのである。みなさんの部屋が乱雑であっても、みなさんが力を加えれば綺麗に整頓された部屋にすることはすぐにできる。だが、部屋の中の乱雑さの原因が犬や猫であったら、そう簡単にはいかないであろう。本は「力」を使って整理整頓できても、犬や猫を「力」を使って整理整頓できないのである。生き物をルールに従わせるには「躾」や「訓練」という方法を用いて、基本的には同じことを何度も繰り返すことをしてルールを身につけてもらう他はないのである。事実、私たち人間もこの方法でルールを身に付ける。ルールを身につけてもらおうとする方から見れば、それは「訓練」なのだが、ルールを身につける方からすれば、それは「学習」と呼ばれる。学習能力は、種ごとに、あるいは個体ごとに、能力の多寡こそあれ、生き物ならほとんどすべての種が身につけている能力である。人間が教わらなくとも言葉を話し、教わらなくとも野球やサッカーのルールぐらいは知っているのも、人間の高い学習能力のおかげである。

 みなさんが、ルールを尊重なさらないので、これからもどんどん機械化は進んでみなさんの仕事は少なくなってゆくであろう。ただ力を加えるだけで、物質がどれほどルール通りに機能してくれて、目的を達成してくれるかは、ご家庭にある自動タイプの家電を見れば一目瞭然である。あなたが加える力は、スイッチをひとつ指先で押す、それだけだ。それだけで、ご飯は炊けて、パンは焼け、洗濯は終わり、掃除もしてくれるのである。物質は完璧にルールを順守するのである。だから、ロボットの時代が本格的にやって来れば、ルールを尊重しない人間がどうなるかはあらかたの察しはつくというものである。
 
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